インド株ニュース 日本製鉄 インドで2基の高炉を建設へ 約1兆円を投資し生産増強 アルセロール・ミッタル

日本製鉄は合弁会社を通じておよそ1兆円を投じ、インドで生産の大幅な増強を行うと発表しました。日本国内での需要が縮小する中、成長が期待されるインドへの投資を拡大します。発表によりますと、日本製鉄は、世界大手のアルセロール・ミタルとのインドの合弁会社で、現地の製鉄所の生産能力を増強します。総額で1兆700億円を投資して新たに2基の高炉を建設し、2025年後半から順次、稼働させる計画です。日本製鉄は28日、同社が4割を出資するインドの鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタル・ニッポンスチールインディア(AMNSI)」が総額1兆700億円を投じ、生産体制を拡充すると発表した。

アルセロール・ミッタル・・・・研究開発拠点をルクセンブルク、フランス、ベルギー、スペイン、アメリカ合衆国、ブラジルの6カ国に持ち、世界60カ国以上で事業を行っている[2]。日本では、日本法人「ArcelorMittal Japan株式会社」が設立されており、東京(虎ノ門ヒルズ)にオフィスを持つ。日本法人は自動車用鋼板に特化し事業を行っている

ミッタル・スチール・・・・ミッタル・スチールの製品は建材用などの低価格の製品が主力で、自動車用などの高級鋼では新日鉄などに遅れをとっている。これは、経営難に陥った鉄鋼メーカーを買収し再生させる、という手法で拡大してきたミッタル・スチールにとって必然の帰着と言える。

インドでは来年、人口が中国を抜いて世界で最も多くなることが予想されるなど、今後の高い経済成長が期待されています。これに対して、日本国内では去年1年間の粗鋼生産量がピークの2007年からおよそ2割減少し、今後も需要の減少が予想されています。日本製鉄は、インドでの今回の計画でグループ全体の世界での生産量がおよそ1割拡大することになります。

オンラインで開かれた会見で森高弘副社長は「インドの鉄鋼需要の拡大を捉えてさらなる増強も検討していきたい」と述べ、今後、追加の投資を行う可能性も示しました。

森副社長はロイターとのインタビューで、インドについて「鉄鋼でいうと、唯一大きく成長するマーケットとみなされている。足元でも、拡張競争みたいになっている」とし、同社としても投資を「加速したいと思っている」と述べた。

<ハジラ製鉄所、生産能力倍増へ>

インドでは、同社と鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルの合弁会社、AM/NSインディアが事業を行っている。ハジラ製鉄所の生産能力は現状700―800万トンで「これを1400―1500万トンに上げる計画だ」とした上で「具体的にどうしていくのか、近々公表できるのではないかと思っている」と話した。

1400―1500万トンへの引き上げは、高炉を建設することになる。その後についても「これで打ち止めではなく、さらなる拡張も考えている」と積極的な投資を考えていることを明らかにした。

一方、東部で計画している新製鉄所の建設については「少し時間がかかる」とし、ハジラ製鉄所のさらなる拡張とどちらが先になるかは、未定だとしている。

AM/NSインディアは8月、印エッサール・グループから港湾や電力インフラ資産を約24億ドル(3300億円)で買収すると発表した。森副社長は「製鉄所の基本部分。今までは契約で行ってきたが、自分たちの計画にあわせて拡大もできるし、いろんな方策ができるので、より自由度、柔軟性が増したと思っている」と、買収意義を説明した。

<自動車需要の本格回復見通せず>

鋼材の主要顧客である自動車は、半導体不足などサプライチェーンの混乱で生産計画の下方修正が続いているが「サプライチェーンが完全に正常化し、いつからちゃんとできるかを見通すことは非常に難しい」と述べた。

1―6月にかけて改修を行った名古屋製鉄所第3高炉は、8月28日に初出銑を行った。最適な再稼働時期を探っていたが「供給の準備に入っているということで、いったん自動車(生産)が動き出したときに機会損失をしてはいけないし、顧客に迷惑もかけられない」と述べ、自動車生産の正常化や建設など自動車以外の底堅い需要に対応するため、この時期の立ち上げを判断したという。

<四半期契約に移行、トン4万円の値上げ交渉>

原料価格の変動が激しいことに対応して、これまで半期ごとに決めていた鋼材価格を4月以降は四半期ごとの契約に移行するようにしている。すでに半数強の顧客が四半期契約に移行したという。残る顧客についても、四半期契約に移行するよう交渉を進めている。

四半期契約に移行した顧客の鋼材価格は、4―6月期に比べて7―9月期は1トンあたり4万円近く価格を上げたという。森副社長は「半期契約の顧客は、半年間の原料、円安の影響をわれわれが負担している。これ以上はもう耐えられないので、下期の価格に反映させようと不退転の覚悟でやっている。まさに、最終の大詰めの局面にある」とし、少なくとも7―9月期に四半期契約の顧客に対して実施した4万円を「一つの指標」として、値上げ交渉に取り組んでいる。

1日付の日本経済新聞は、トヨタ自動車が日本製鉄と車用の鋼材を値上げすることで合意したと報じた。部品会社への供給価格を2022年度下期(22年10月─23年3月)は上期よりも1トン当たり約4万円引き上げ、2─3割の値上げになるとみられるとしている。上昇幅は現在の交渉方法になった10年度以降で最大という。

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